1月14日
氷点下の世界へ
7時ごろ目が覚める。まだ寝ていてもいいのだけれど、最後にもう一度、浜を見ておこう。
海側に出てみる。北風が強く、かなり波も立っている。それ以外に、浜にゴミが目に付く。おそらく夜のうちに飲み散らかし、食べ散らかしたものだろう。暇だし、このゴミも嫌なので見える範囲で拾って歩く。一番多いのはタバコの吸い殻。そしてヤシの実ジュースを飲むときに使うストロー。ビールの瓶。ビニール袋。紙オムツまであった。大きなゴミはなくなったので朝食を食べにレストランへ行こうとすると、入れ替わりにビーチに来た白人男性が吸っていたタバコをポイ。怒りに震える右手を抑えるのが大変だった。
8時半ごろ、少し早いがチェックアウトする。フロントの女性もまだ眠そうだった。こちらもまだ眠ったままのメインストリートを通って船着き場へ。30分に1本の高速船がちょうど出たところだった。別に時間はたんとある。急ぐものでもない。次の船を待とう。
そう思って桟橋に立っていると、男が近づいてきて「Cancunに行くなら今、スピードボートが出る。25ペソだ」。来たときと違うもので移動するのも良かろう。すぐわきのボートに乗る。計8人が乗って、波の荒い海へ出る。対岸に見えるCancunのホテル群からどんどん遠ざかる気がする。小さな船だから多分、波や風のことを考えて回り道するのだと思ったら、ホテルエリアからかなり北側の小さな桟橋に着いた。ここが終着だという。桟橋の向こうには何もない。破れたフェンスをみんなくぐっていく。くぐっても道がない。どうやって空港に行くのか。
船の操船をしていた男性が「無線でタクシーを呼んでやる」と言ってくれる。そうでもしないと足がない。それだけへんぴな場所。私以外の乗客は、近くの道路まで出て、辛抱強くヒッチハイクできる車を待っている。といっても交通量がまったくない道路。彼らはいつ車を拾えたのだろうか。
真っ赤な日産サニーに乗り込み、ホテルエリアとは別のサイドをタクシーは走る。従って何の見どころもない。単にバイパスみたいなところを延々走るだけ。
本来なら機内預けにする必要のない荷造りを私はしていた。リュック1つに土産物の包み1つ。しかし、今回は是が非でもリュックを機内預けにしないといけない。Trade with Enemy Actのせいだ。アメリカ入国の際、キューバ製品、たとえそれがちゃちい土産物でも見つかれば没収されると、Lonely Planetが脅しているからだ。機内預けにすれば最後にニューヨークで荷物を回収するまで開けられることはない。
念を入れて、空港にあるラッピングマシーンで荷物をラッピングしてもらおうと思ったら、荷物を検査してからだという。ドキン。大丈夫かな。
しかし検査の焦点は、キューバ製品があるかないかではなく、爆発物や凶器を持っていないかどうか。ここは無事通過。ラップしてもらう。40ペソなり。
チェックインの際も、おねえさんから「本当にこれを預けるの?中に何が入っているの?」と聞かれる。そりゃちょっと不自然だったかもね。何とかかんとか言って、これも無事通過。
出発までまだ4時間もある。早く着きすぎた。まあそれで不都合はあるまい。免税店をしらみつぶしに回る。しかし購買欲をそそられるものはない。
ペソのコインは使いきらないと。これまたどっぷりアメリカンの「バーガーキング」で昼食をとることにする。なんとハンバーガーのセットで74ペソ。約7ドル。高い。
なぜだか知らないがゲートへの集合時間が出発の1時間前になっていた。通常は30分前のはず。そして1時間前になったら本当に搭乗開始していた。そして当然、定刻より30分早く離陸。やけに急いでいるな。
US Airwaysの機内サービスの一部は有料。音楽を聴いたり映画を見たりするのに必要なヘッドフォンは5ドル。アルコール類は4ドル。合理的と言えば合理的だけども、何だか味気ない。
途中、少し揺れる。機長がいちいちアナウンスして、「揺れを避けるために高度を変える」などと言っている。ここまで丁寧なのは日本の航空会社でもあまりないな。
暗くなって月光に翼が輝く。少しずつオレンジ色の光が見え始める。「なんだ、フィラデルフィアなんて大したことがないな」と思った瞬間に飛行機が大きく旋回。すると、突然光の海が眼下に広がった。ほほう。結構なものだ。
着陸後の機長のアナウンス。「フィラデルフィアの天候は曇り、気温は華氏21度」。機内から「うひゃ〜」とも「ひえ〜」ともつかない声が漏れる。みんな暖かいCancunから来ている。そこでは摂氏で20度前後が普通。華氏で21度とは、摂氏でマイナス6度ぐらい。ぎゅぅう、寒い。
フィラデルフィアで乗り継ぎ。私のパスポートには、キューバ入国の際にわざわざ押してもらったキューバの入国スタンプがある。これがもし入国の際、入管で見とがめられるといろいろ面倒なことになる。F-1ビザのところだけ広げて係員に手渡す。忙しかったからか、ほかのぺージは見ずに手続き完了。I-94に「D/S」の記入もあり。よしよし。
最後の関門、税関。ここも大丈夫。ゲートに行く手前でかなり念入りな身体検査。しかし係員の男性は、私たちを不快にさせないようにかなり気を配っているのが分かる。言葉も丁寧なら、物腰そのものも低姿勢。アメリカでこういう体験は貴重だ。この係員にはprofessionalismを感じた。
あとはニューヨーク・ラガーディア行きを待つだけ。少し人が少なくなった空港で午後8時発の便を待つ。
空気が凍りつくようなラガーディアに到着。ラッピングされたリュックに入れていた防寒着をあわてて取り出す。バス1本、1.5ドルで部屋まで帰れるからという理由でラガーディア発着の便にこだわったので、バスを待つ。夜ということもあってなかなか来ない。寒い。
バスがマンハッタンに近づくにつれ、ネパールから帰った時に感じたような、何とも言い難い「帰ってきた」実感がする。ただいま、ニューヨーク。
Useful Links
1)Cuba 2000
日本語による最も有益なキューバ情報サイト。特に、「Lonely Planet」「Time Out」「歩き方」に載っていない情報、載っているけれど間違っている情報を補ってくれるので、非常に役に立つ。まずはここからキューバの旅行情報を手に入れるとよい。掲示板もあるので、アップデートされた情報が常に入るし、ほかの有益なサイトへのリンクも充実。
2)Lonely Planet
私が長年のこだわりを捨てて今回同行させたガイドブック。世界各地の行き先別にある。キューバに関してはキューバ全土のものとハバナ編があり、私は後者を買った。14.99ドル。日本の旅行者があまり行かないカリブ海やメキシコ、南米などはやはり一日の長あり。当然英語。
3)Travel Agency to Cuba
アメリカにいて不便なのは、キューバ行きを扱う旅行社が手近にないこと。従ってこのサイトで私はキューバとカンクン間、キューバ国内のホテルと移動の手配を依頼した。ま、事の顛末は本記を参照のこと。アメリカとダイレクトな関係がまったくないので、航空券を送ってもらうのも一苦労。しかもラテンの国ときている。当然ながら時間に余裕を持って交渉したほうが安全。英語やスペイン語など。
4)Casa Particular.com
キューバ版民宿またはホームステイ、Casa Particularを紹介するサイト。希望の宿泊地を選んで、そのエリア内にある候補を探す。だいたい1泊20ドルから25ドルが相場。部屋の詳しい記述もある。英語。私は結局このサイトは使わなかったが、キューバのネット事情が悪いため、問い合わせしてもしばらく返事が返ってこないこともあるらしいが、怠けているわけではないそうだ。旅行直前に出した私の問い合わせ/予約依頼にも数日して返事が来ていた。これもまた時間をみた方がいいだろう。
5)Cuba Hotel Guidebook.com
いやいや、民宿じゃ嫌だけど旅行会社を通して予約するのも嫌だ、という方にはこちら。有名ホテルの予約ができる。当然英語。ハバナだけではなくキューバ各地OK。私は、手配を依頼した3)の見積もりが相場からかけ離れているかどうかのチェック用に使った。おおむね、納得できる範囲ではあった。
6)Cancun Hotel Reservation
5)のCancunバージョンのようなもの。ただカンクンについては腐るほどホテルがあるし、ディスカウントもいろいろあるし、航空券とパッケージになっているものもたくさんあるし、なので、わざわざ自分で予約をする必要がある人向き。ホテルの名前を見てもイメージがわかないのが欠点と言えば欠点。英語。
7)Cabanas Maria del Mar
私がIsla Mujeresで泊まったホテル。ホテルに設備を求めず、ひたすら休む場所、ビーチに近ければそれでよいという人向き。ホテルですべてをまかいないたい、ホテル自体も楽しめないといけないという人は失望するかも。
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