午後にはMuseo de la Revolucion(革命博物館)へ。入場料はペソなら3ペソ、ドルなら4ドル。正式レートは1対1だから、ドルの方がややぼったくられる。大きな荷物は預けないといけない。元大統領官邸を改装しただけあって、建物も見ごたえがある。しかし展示してあるのはゲバラの遺品などの他には革命運動の各戦闘の詳しい解説とか、メダルとか、写真とか。7割ぐらいの展示には英語の説明もついていたが、プロパガンダのにおいがぷんぷん。それはそれで仕方ないし、そういうのを見に来たんだし。
ある大きな部屋は、フランスのヴェルサイユ宮殿の「鏡の間」をまねて作られた(写真)。本家よりは鏡が少なかった。ちなみにこの建物の内装はすべてニューヨークのティファニーが手がけていたとか。アメリカの影響下にあった時代の建物だから、当時の最先端の内装を施したということだろう。その建物が今は反アメリカの宣伝に使われている。これも歴史の皮肉か。1階には「ありがとうレーガン、ありがとうブッシュ(多分パパの方)」という漫画まであった。彼らの対キューバ強硬政策が「民族の団結に貢献してくれた」と皮肉たっぷり。
革命博物館の裏側には、カストロやゲバラがメキシコからキューバに渡るために使われた「Granma」号も展示されている。単なる豪華クルーザーだったが、12人乗りのこの船に81人も乗って海を渡ったということの方が不思議に思えた。
早めに部屋に帰る。テレビではスペイン語のメロドラマをやっている。こてこて。とても正視できない。おそらくメキシコのテレビ局製作。その次にはマイアミのスペイン語放送局のニュース番組も。この家、隠れて衛星放送を受信しているらしい。ニュースでは、マイアミ選出の上院議員がスペイン語で会見している様子や、単なる交通事故なのに目撃者がスペイン語でインタビューに答えている姿が映し出されていた。キューバからわずか150キロのマイアミは、もうすでにスペイン語が主要言語になっているような気さえした。
年末に若旦那と「民族のアイデンティティ」について議論したことを思い出した。マイアミのヒスパニックは、国のアイデンティティは希薄になっているように見える。キューバ系、プエルトリコ系、バハマ系など、それぞれの国で固まってはマイノリティであることを逃れられないからだ。しかし出身国の枠を乗り越えて「スペイン語を話すグループ」としてまとまれば強い。カリブ海や中南米の国はほぼスペイン語圏だからだ。そうしてスペイン語のテレビ局が商売として成り立ち、上院議員までがスペイン語を話す状況になっている。もし同じような状況が日本に生まれたらどうだろうか。中国語しか話さない大きなコミュニティができて、そのあたり選出の国会議員は中国語を話せないと政治家として用をなさない。そういうとき、日本はそのコミュニティの人たちを日本の一部として認めるだろうか。そのコミュニティの人たちは自分たちを日本国の一部と認識するだろうか。かなり難しい気がする。
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