1月9日
キューバの平和
とにかく寒い。ニューヨークに比べて暖かいとはいえ、やはりキューバも冬。日の出のころはやはりかなり冷え込む。タンスにあった毛布を引っ張り出してきてかぶってみるものの、寝た感じがしない。
Margoが「私の朝食を試してみるか」というのでお願いする。その準備ができるまで、ベランダに出て海をながめる。山を見て落ち着くことはないけれど、海を見ていると何も考えないし、没入している私がいる。妙な安心感がある。これほどまでに青い海だからか。
Margoの朝食は、ラスク、スクランブルエッグ、フルーツ3種、マンゴージュース、そしてミルクコーヒー。Margoも私が満足そうな顔をしているのを見て喜んでいる。そのまま話をしたいようだったので、思い切ってキューバ危機のことを聞いてみる。こういう政治的な話はキューバではご法度なのだが、2003年はキューバ危機から40周年。Margoなら充分、当時も大人だったはず。
すると急に真顔になって「No comment」を繰り返す。自分でもその言葉が言いたくないらしく、苦い顔をしながら、渋々言っている。そういう話をするのは身の危険がある、だれが何を聞いているか分からないということをひそひそと話す。言論を統制する体制はやはりまだ健在のようだ。
それではと話を少し変えて、ハバナでキューバに住んでいるアメリカ人に会ったこと、彼らはキューバが好きなこと、単にアメリカ政府がキューバを敵視しているだけ、などという感想を話すと、「(1959年の革命から)40数年、私たちは平和を求め続けていた」とだけ言っていた。それはプロパガンダというよりも、かたくななアメリカのどうしようもなさを嘆いているような印象を受けた。
腹ごなしにもう何度も歩いている海沿いを歩く。ときおり立ち止まって海を見つめる。自分の身体でも太陽に当たっている面は暖かいのだが、逆の影側がかなり冷たい。まだ空気がぴりりと冷たいままだ。
部屋に帰って部屋を出る支度をする。「なぜ1日しか泊まらないのか」「私はあなたを気に入った」などとMargoが言う。彼女に言われるとお世辞でもうれしい。彼女のsisterもやってきて、「もう少し泊まればいいのに」「また来年も来るんでしょう」と同様の言葉で送り出してくれる。
二人にキスをし、ベランダでMargoと写真に収まり、そして部屋を出る。ハバナというよりここにならもう一度戻ってきてもいいな。
ハバナ最後の夜の宿は、ちょっと奮発してHotel Nacional。コロニアルというかちょっと古めかしい外観と内装。旧ヒルトンホテルのHotel Habana Libreと並んで、Vedadoのランドマークでもある。旧市街からはMaleconをゆっくり歩いて40分。きょうは荷物を抱えているので少し汗をかいた。先日会ったペリカンがまたいるかなと期待したが、きょうはいなかった。きっと餌でも探しに行っているのだろう。
チェックインしたらもう腹が減ってきた。でも食事というほどでもない。Lonely Planetに書いてあった「Pain de Paris」というケーキ屋に行く。どこに行っても食べているエクレアと、クリームたっぷりのロールケーキ。計1.2ドル。部屋に持ち帰って食べてみる。エクレアは皮がニューヨークのもののように固そうに見えたが、食べてみるとしっとり。それほど甘すぎない。なかなか。ロールケーキの方はイマイチ。
ハバナ最後の夕食は、これまた以前から決めていたウサギ料理の店「El Conejito」。Hotel Nacionalから少し西へ下ったところにある。牛がやはりないというので、ウサギ肉入りスープ、グリルド・ポーク、ピラフ、コーヒーを頼んで8.6ドル。やはり旧市街よりかなり安い。どの料理もなかなかのお味。店の構え、そして雰囲気は入るのをためらうほどの高級レストランだが、価格は良心的。地元の人もかなり来ていた。キューバ最後の夜にふさわしい店でよかった。
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