これでもミャンマーは乾期。3月から5月の暑期には50度を超えることもあるとか。それを聞いても暑さはひかない。
全長75メートルの涅槃仏へ向かう。本来は足を崩して座っていた像だったのを、高名な僧が「これではいかん」と言ったとかで、寝かせられたという不思議な歴史。「バンコクにも大きい涅槃仏があるよね」とマウンに言ったらちょっとぶすっとしていた。
もうすでにパゴダや寺院に関心のない私を悟ったのか、次はインヤー湖。このほとりにスーチーの家がある。その前を通りたいと言ったら「外国人は無理。それだけはできない」と。当たり前か。代わりに、彼女の政党NLDの前を通ってくれた。道路に面した木造の目立たない建物で、前面に赤い横断幕にビルマ語で何か書いてあった。
湖ではコーラを飲みながら日陰で涼む。すぐ近くにヤンゴン大学がある。ここは88年の民主化の牙城になったところだが、それに懲りた政権側は、ここを大学院専門にし、学部生は市の東西南北に分散させているのだという。さらに通信教育をメインにしつつある。つまり、学生を1か所に集めないようにしているのだ。その成果もあってか、今では民主化の巣にはなりそうもないとか。湖には細長い魚が泳いでいた。
ランチは飲茶。やっぱり中華。おいしかったが、面白みはない。残ったチャットをドルに再度、両替してもらう。この段階でやっと自分の職業を明かす。これまでは危なくてやっていなかった。マウンは少し驚いていたが、それでもさらに突っ込んだ話を日本語でしてくれた。
市内最大のアウンサン・マーケットへ。しかしバガンの市場とは違って建物の中だし、土産物や電化製品や雑貨が主体。土産物屋に置いてあるものはどこでもほとんど同じ。インド人の闇両替が少し新しいが、もう両替する必要もないし。中国人が来る前は、インド人が経済に力を持っていて、今でもそれは残っているようだ。
イギリスの植民地だった時代の面影が残るダウンタウンも回る。しかしもう気温は確実に35度を超えていて、日本の一番暑い日と同じぐらい。真冬の日本から来てそれはないだろう。
夕方、空港へ向かう。「旧軍人か経済関係のガイドが多い」というマウンにとっては珍しい客だったのか、いつまでも名残惜しそうにしている。そんな視線を背中に、ゲートに向かう。1645発のシルクエアでシンガポールへ。前に座っていた日本人のおじいさん。ちょうど非常脱出口だったので乗務員が扉の開け方を説明しているのに英語がさっぱり分からない。見かねて通訳を買って出る。すると乗務員、「できれば席を代わってほしい。万一の時に(おじいさんだったら)心配だから」と。了解をもらって席を代わると、その乗務員はほっとしたような表情。あとで「Thank you」とシルクエアのトランプを持って来た。
シンガポールで乗り換えて、2340発のシンガポール航空で成田を目指す。
1月21日 気温2度
うとうとしたころに朝食でたたき起こされる。寝たような寝てないような。機内アナウンスは「地上気温2度」と言っている。身体がついていかへんって。
朝7時ごろ、成田着。そして会社へ向かう。もう頭は仕事モード。風邪気味の鼻をすすりながら。
ベストショット賞
小ネタ集
・旧英領なのに車は右側通行。それなのに街は日本車ばかり。99%が日本車の中古車。そして90%がトヨタ車。その中で見た車体の面白い文字シリーズ。「相まみえる!古都の春に」(一体、何の広告なんだろう)、「日本ダービーの入場券は」(入場券は、の後がぷっつり切れている。入場券が何なのか非常に気になる)
・車は右側通行なのに、路線バスはすべて日本のバス。「小名浜行き」なんていうのもあった。どこまで行くんじゃい!日本のバスをそのまま使っているからドアが歩道と逆側になっている。どうしているのかと思ったら、逆側にドアを新設して使っていた。
・ミャンマー語には「hello」「こんにちは」に当たる挨拶語がない。ミャンマー人同士では、「ご飯食べたか」「どこに行くのか」という言葉で代用しているらしい。それでは不便なので、便宜上、外国人に向かっては「ミンガラワ」と言っている。ホテルやレストランなどで。しかしこれを直訳すると「おめでとうございます」になるらしい。なんか違和感。ちなみに「ありがとう」はあって、これは「チェーズウェ」。ニューヨークで教えてもらった「チェーズ」(2001年10月)は、ここから来ているのだろう。
・軍事政権が政権を取って以来、「ビルマ」は「ミャンマー」に変わったように、それ以前と以降では地名も大きく変わった。ラングーンがヤンゴンに、パガンPaganがバガンBaganに、イラワジ川がエーヤワディ川に、など。特に国名の変更は、民主化を支持するかどうかの試金石にもなっている。民主化勢力は軍事政権は正当な政権ではない、従って彼らが変更した「ミャンマー」は認めないとする。
・女性や子供が顔に白いものを塗っている。「タナカ」と呼ばれるもので、木をすったもの。日よけの効果があるらしい。
・バガンは、カンボジアのアンコールワット、インドネシアのボルブドゥールとともに仏教3大遺跡とされる。しかし残り2つは世界遺産に登録されているのにバガンはそうではない。ミャンマー人が「修復」と称してキンキラキンにしてしまうためだ。ユネスコは原状で保存することを世界遺産登録の要件にしているという。従って、キンキラキンではだめ。そんなことはしかしお構いなしのようで、現に議長はでっかいタワーを建てている。
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