1月9日
市場を見て死ね
「歩き方」には「クスコで最もドロボウの多いところだけに貴重品を持ってウロウロしてはダメ」と断罪されているクスコの中央市場。しかし、観光ではない庶民の生活をのぞくのに、市場ほど適したものはない。これまでで十分、「歩き方」の記述を疑うだけの根拠を持っていた私は、通常の警戒心を5%だけ増やして歩いて行ってみる。
昨夜、クスコについたときの駅のそば。市場の手前からすでに露店街が始まり、かなり活気がある。市場に入ってみると、肉、野菜、果物、雑貨。特に花の量と種類が豊富なことに驚く。花がたくさんあるということは、生活にゆとりがあるというこでもある。
市場そのものの大きさも大したもの。これまで見た中でも1、2の広さだ。果物のコーナーでは、ずらりとならんだ「生ジュース売り」。おばさんたちがスペイン語で何かまくしたてている。肉のコーナーでは大きな牛を解体したばかりのかたまりが売られている。リマのように砂漠の中にある都市ではなく、やはり肥沃で温暖な土地にあるだけのことはある。
通路で自家栽培と思われる果物を売っていた親子。小さな女の子は、紅葉のような手を握らせてくれる。それまでにこにこしていたのに、写真を撮ろうとしたらきゅうにまじめな顔になった。つぶらな瞳に浮かぶ不安そうな色。母親がそんな我が子を見て爆笑しているのが救いだった。
クスコ de internet
さすが世界から観光客が集まるクスコだけあって、至る所に「internet」と書いた看板がある。カフェと併設しているところもあるが、単にパソコンを置いて時間単位でネットサーフィンさせるもの。NYを出て約1週間。もしかしたら重要なメールが入っているかもしれないと、少し試してみる。
しかし盲点はこんなところに。当然、日本語は読めない。しかしおもしろいのは、いつも見なれた文字化けではなく、なぜかラーメン模様や古代文字みたいな化け方をしていること。クスコバージョンか。数字しか読めないのでは意味がないので、とりあえず英語のメールだけチェックして終わり。
バス de びっくり
午後から市内と周辺を観光するバスに乗る。バスに乗ってびっくり。SIPAで一緒に勉強している人が乗っている。なんで?向こうも「なんでここにいるの」と言っている。こんなところで、しかも観光バスなんていくらでもあるクスコで、どうして会うかな。
ほとんど日本語をしゃべってなかったから、懐かしさも手伝っていろいろ話をする。バスはそんな2人を乗せて、コリカンチャ(=太陽の神殿)へ。といっても現在はその上にスペイン人がサント・ドミンゴ教会を建てている。石組みだけが残っており、大地震の際、スペイン人が造った部分は崩れてもインカが造った石組みはびくともしないという。見学していても気分は滅入る。いくら豪華な教会の装飾を見ても、それはインカの人を搾取したものじゃないか。愛を説くキリスト教はどこに行った。
バスは郊外に出て、サクサイワマンへ。要塞跡。大きな石組みだけが残る。もしインカの人が造ったものが残っていれば、どれだけ壮観だったか。また悲しくなる。
プカラプカラ、タンボマチャイ、ケンコーなど周辺の遺跡を回る。だんだん落ち込んでくる。バスの乗客も疲れて来たようだ。さすがのテキサス軍団も元気がない。
再度フォルクローレ
ばったり出会った人と夕食を共にする。フォルクローレを聞こうと、昨夜とは違う店に。こちらはbuffet形式で、しかも大きい店なので団体さんが多い。なぜだか私たちの周りには日本人が固まった。(写真は前日見たバンド)
演奏もかなり観光客向けで、しかも古き良きフォルクローレというよりは、日本で言うと民謡ショー、もしくはスーパーの客引き演奏会のような趣き。特に3番目のバンドは、客を乗せようと必死だった。タップなんかもあったし。そんな文句を言いながらも、しっかり最後まで見届けた私たち。
夏とはいえ、クスコの夜は寒い。雨も降り出した。昼間見た遺跡の悲しさをなぜだか寝るまで引きずってしまっている。
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