途中までは先日、プーノ入りしたときに通った道。曲がりくねった坂道を上る時、振り返ると湖に面したプーノの街並みが見える。この標高にようやく慣れたころに街から出るのは何だか悔しい。
車は途中で道をそれ、鋪装はされているものの穴ぼこだらけの道を進む。まるで広大な牧場の中の私道のようなおもむき。そんな道をしばらく進むと、丘の上に遺跡が見えて来た。シユスタニ遺跡だ。
この遺跡はインカ以前から墓所として使われていたもので、円筒形のチュルパと呼ばれる石組みがいくつか残っている。ここも丘の上。また坂道を上るが、しかし慣れているのかやはりつらくはない。インカまでのものは石組みもそれほどきっちりしていない。その時代のものもあれば、その上にインカの人々が増設したもの、そして純粋インカのものもある。やはりインカのものは石の表面がきれいに磨かれているうえ接合部がきれいなので、美しい。
この丘の一番高いところの標高をガイドのマリオに尋ねたら、「上りきるまで教えない」という。 教えたら上る気力がなくなるからだって。上ったところで聞くと、4000mという答え。聖なる湖チチカカは見えない。どうしてこんなところに墳墓を作ったのか聞くと、この独特の景観にあるという。
丘の上から見渡すと、この丘はシャモジ型の半島になっており、三方をウマイヨ湖に囲まれている。湿地で草をはむ牛。ときおり視界をかすめる鳥。どこにでもいるハエ。そのほかは、空の青さをそのまま映したような湖が静寂を運ぶだけ。なるほど、墓所としてはいいかもしれない。
マリオは数年前、ある権威から数日かかりでこの遺跡について実地に教わったそうだ。誰も知らないいくつかの見どころを教えてくれた。ある石のある部分だけがコンパスを狂わすとか、ここで1分間黙っていると何かが起こるとか。その権威が少し前に亡くなったとマリオは寂しそうだった。ほかにツアー参加者はなく、1対1でのガイドとなった。
フリアカ空港
再びあの猥雑なフリアカの街を通る。やはり生活の活気がある街はいい。見ていて飽きない。再び三輪タクシーを写真に撮ろうとするが走っている車の中からなのでなかなかいいものが撮れない。
フリアカの空港はまさに地方の空港。航空会社のカウンターが少しとレストランがあるだけ。チェックインを済ませてコーヒーを飲む。しかし出て来たのはホットミルクとエスプレッソが別々に。これをどうやって飲むのか。幸い、隣のテーブルの人も同じものを頼んでいて同じころに出て来た。それを見ると、エスプレッソをミルクの中に入れるようだ。真似をして飲んでみる。コーヒーと名のつくものはどこにでもあるけど、その飲み方は千差万別。それもおもしろい。
エアロコンチネンテ航空機のB727でリマへ向かう。空気が薄いため、離陸にかなり時間がかかる。おいおい、そろそろ飛ばないと滑走路がなくなるぞ、と思った瞬間、機体が浮いた。ただ気流が不安定なのか、かなり揺れる。今まで飛行機に乗ってこんなに揺れたことはない。ナスカで乗ったセスナより不安定だ。早く安定高度に行けばいいのに、なぜか低空飛行を続けている。「エンジンの調子が悪いのかな」なんて不安までよぎってしまう。砂漠に似た山並をながめながら、そのまま30分ほど飛行機は揺れながら飛んでいる。
と思うと急降下。「やはり落ちるのか〜」なんて思ったら、アレキパの空港に着陸。リマへのダイレクトフライトではなく、経由便だった。それで低空を飛んでいたのか。この街は海に近いところにあるので、割と気流も安定している。ここからリマへは80分ほど。左に大平洋に沈む夕陽を見ながらリマへ。
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